「売りたいものを売る」のか「買いたいと思われているものを売るのか?」
誰もが自分の商品サービスに自信を持っていると思います。
自信が無ければ売ろうとしませんからね。当然の事です。
今回は、商品開発の原点についてのお話しをしたいと思います。
視点が異なる二つの言葉
マーケティング用語に、「プロダクトアウト」という言葉と「マーケットイン」という言葉があります。
「プロダクトアウト」は企業が自社で売りたいものを開発、製造し販売することを言います。
対して「マーケットイン」は消費者が求めるものを開発、製造し販売することを言います。
出発が上流と下流かの違いです。
誤解しないでいただきたいのは、上流が「上」という意味ではない点です。
川の流れの比喩的表現ですのであしからず。
さて、この視点が異なる二つの思考。あなたはどうとらえているでしょうか?
多くの企業がやりがちなのは?
多くの企業は、売りたいものを売っています。
市場調査を行い商品を開発している会社ももちろんたくさんありますが、基本的に自社の売りたいものを売っています。
iphoneは消費者が望んだモノではありません。
アップルという企業が、こんなものが世の中にあったら喜ばれるだろうと開発した典型的プロダクトアウトの商品です。
そういう意味では、消費者のニーズがあって開発したものではありません。
フォードの創設者、ヘンリーフォードは、消費者の意見を聞いていたら車を作ることはなく「速い馬を売っていただろう」と言っています。
プロダクトアウトの商品開発は、イノベーションを起こし、消費者に新しい文化、価値を与えます。
そういう意味では、プロダクトアウトは「進化」と言っても良いでしょう。
しかし、世の中の多くの企業は、イノベーションをしていない自分の売りたいと思っているプロダクトアウトの商品です。
マーケットインの商品の多くは、消費者が想像できる未来の商品です。
イノベーションの要素はあまりありません。
こちらは「改善」商品という表現が良いでしょう。
売るのが楽のは?
プロダクトアウトの商品とマーケットインの商品。
どちらが売りやすいでしょうか?
一概に決めることはもちろんできないのですが、イノベーションがないプロダクトアウトの商品よりも、マーケットインの発想を持った商品の方が売りやすいです。
売上げが上がらないと悩む経営者の多くが、自己都合色が強いプロダクトアウトの商品を売ろうとしています。
しかし、逆の立場にたって思考すれば、その発想でモノを売ることはできないことは簡単に分かります。
独りよがりな商品は残念ながら売れないのです。
私自身、よく売上げのご相談を承ります。
相談者が提供している商品の説明を聞いた上で、疑問点等について確認をすると、一生懸命説明してくれる経営者がたくさんいます。
しかし、消費者は疑問点について聞かないのです。
疑問点がある時点で、購入しないと判断するのです。
それでは機会損失で残念ですよね。
個別に説明しなければ伝わらない事があってはならないのです。
まとめ
自社の商品には絶対の自信を持っている。
それ自体は素晴らしい事だと思います。
自信がないものを堂々と売っている悪質な経営者がいるなかで、自信のあるものだけを提供していることは称賛に値します。
しかし、その自信が100%伝わらないのでは本末転倒です。
消費者は比較対象して購入を判断しています。
ということは、提供する側が同業他社が提供する商品や同じ価値を提供する別の商品と自社の商品の違いを調査し、予め消費者に伝達することができるようにしておくことが必要です。
話せばわかるは現代ではないですから。